秦森康屯(1923(大正12)~1994(平成6))は、広島県三原市に生まれました。最初は画家になることを許されず、戦後は東京や大阪で絵の勉強を続けますが、やがて大阪豊中に落ちつき、1954(昭和29)年独立美術協会展に初入選します。翌年も続けて入選、さらに1956(昭和31)年には関西独立賞第一席および、25周年記念賞を受賞して、一躍脚光を浴びます。しかし1958(昭和33)年、独立美術協会を退会するとともに、関西在住の独立展出品作家7人で鉄鶏会を結成、1961(昭和36)年まで活動を続けました。
やがて抽象画から具象画に転じ、風景、人物、静物などあらゆる対象を、独自の厚塗りの筆致で描くようになり、いずれの団体にも属さずに、関西や東京、出身地三原市を中心とした個展で、作品を発表することになりました。
本展は、30年以上も西宮甲陽園の地に住み、一途に絵を描き続けた画家の創作の軌跡を辿る、関西でははじめての回顧展となります。油彩画の代表作40数点をはじめ、水彩やデッサンなどを展観いたします。