昭和の風景や、感受性豊かな子ども達の姿を、独特のユーモアを交えて描いた谷内六郎(1921-81)。横須賀美術館では、代表作<週刊新潮表紙絵>を中心に、谷内六郎の世界をご紹介しています。
平成30年度第1期は主役として、描かれている小さな子ども達だけでなく、その父母や、兄、姉などの家族の存在に注目します。表紙絵に描かれている家族の姿からは、その家族の日常や、それぞれの役割などを読みとることができます。
また、今会期は表紙絵原画の展示に加えて、谷内六郎を支え続けた妻・達子(みちこ)を取り上げます。谷内達子(旧姓:熊谷)は、六郎との結婚以前、劇作家の飯沢匡(たすく)やデザイナーの土方重巳(しげみ)らとともに活躍した人形作家でした。1950年代後半に、トッパンの人形絵本『まっちうりの少女』『七ひきのこやぎ』『へんぜるぐれーてる』、人形アニメーション『ペンギンぼうやルルとキキ』など多数の作品を手がけています。彼女の手から生まれた人形たちは、表情豊かであたたか味があり、見る者を物語へと誘う重要な役割を果たしました。谷内達子氏が所蔵する貴重な人形や資料と、〈週刊新潮表紙絵〉を通して見えてくる昭和の家族のすがたをお楽しみください。