当館では、ガラスの技法と表現をテーマにした展覧会を、これまでに幾度か開催してまいりました。今回は「キルンワーク」に焦点を当てます。
キルンワークとは、電気炉(キルン)を用いてガラスを加熱し、成形・加工する技法の総称です。主に、ガラスがやわらかくなって変形したりくっついたりする程度の温度で行うフュージング、スランピング、型に入れてガラスを熔融させて成形するキルンキャスト(コールドキャスト)、パート・ド・ヴェールなどがあります。いずれも、電気炉にセットするまでは、常温の状態でガラスを扱えるため、より安全にじっくりと作業することが可能です。
応用範囲が広く、設備の導入が比較的容易でもあるキルンワーク。近年は、他の技法との併用も含めて、キルンワークを用いるガラス作家が増えてきています。当展をとおして「キルンワーク」というガラスの技法とその特性を知り、現代ガラスに親しむ機会を提供できれば幸いです。