この度、東京画廊+BTAPは作曲家・一柳慧と陶芸美術作家・近藤高弘の二名による展覧会「消滅」を開催いたします。
東京画廊は1962年に武満徹(1930-1996年)、黛敏郎(1929-1997年)、一柳慧(1933年-)、高橋悠治(1938年-)による「4人の作曲家」展を行いました。この展覧会は、戦後の前衛音楽の先駆者であった各氏のグラフィティ楽譜を展示したものです。当時、芸術全般で実験的な試みが行われ、また、美術、音楽、演劇の間で「前衛」という共通項を通じて活発な交流がありました。この時代、東京画廊も現代美術に限らず、音楽、書、古美術などを扱った、実験的な展覧会を多く行っています。一柳は同展以来、実に56年ぶりの東京画廊への出品となります。
本展は、音楽、造形、パフォーマンスを組み合わせた実験的な試みです。近藤が土の作品を即興的に形作り、同時に、一柳が本展のために作曲した音楽を、ヴィオラ奏者の小早川麻美子が演奏致します。音が沈黙に帰着することを実演するのが音楽なのだとすれば、造形が例示するのは、作られた器が形を失うことになるはずです。この二者の対話からなる本展は、生成消滅を繰り返す宇宙の縮図となることが期待されます。