今西コレクションは、故今西菊松氏個人が集めた肉筆浮世絵、茶道具、工芸品などからなる美術コレクションです。中でも肉筆浮世絵はその数と質の高さもさることながら、浮世絵史における多くの絵師たちの作品を網羅しており、肉筆浮世絵の沿革を辿ることができるという点においても高く評価されています。
肉筆浮世絵は、庶民に広く普及した浮世絵版画とは異なり、絵師の手により制作された一点もののため希少性が高く、富裕層の人々に好まれました。そこには、女性のたおやかな姿態から、髪形や着物の華麗な文様にいたるまでが巧みに描かれており、その芸術性のみならず当時の風俗文化も身近に感じることができます。
本展は、勝川春章(かつかわしゅんしょう)、鳥文斎栄之(ちょうぶんさいえいし)、葛飾北斎、歌川国芳、歌川広重、河鍋暁斎(かわなべきょうさい)など江戸時代から近代にかけて活躍した絵師が描いた美人画や役者絵など90点により、江戸文化と共に花開いた肉筆浮世絵の魅力を紹介します。