【龍星閣コレクション】
千代田区は出版・印刷業が集積した全国有数の街として発展してきました。千代田区九段南にある出版社・龍星閣は、高村光太郎の『智恵子抄』の版元として知られていますが、戦後、竹久夢二の画集を次々と出版し、第二次夢二ブームを牽引した存在でもあります。本展は、夢二の著作や画集の出版のために創業者の澤田伊四郎が収集した膨大な夢二コレクションが千代田区に寄贈されたことを記念し、その精華を千代田区と東京ステーションギャラリーが共催で紹介します。
初公開!夢二青年期の試作
『搖籃』は明治三十六(1903)年に制作されました。外国文学の翻案や創作、さらに数点の挿絵を含む手描きの冊子です。推敲の跡も生々しいこの試作からは、若き日の夢二のあふれんばかりの才能と、自分の創作を世に問いたいという強い願望を感じとることができます。
初公開!自伝小説『出帆』挿絵原画
『出帆』は、都新聞で昭和二(1927)年に連載された夢二の自伝的小説です。この小説には、夢二と交流のあった女性たちのことなどが綴られており、発表当時大きな話題となりました。この小説に付された134点におよぶ挿絵原画を一堂に初公開します。
装幀 出版 意匠
夢二の創作活動は、出版と深い関わりをもっていました。本展では、500点を超える展示品によって、夢二の多彩な活動をさまざまな角度からご紹介します。数多く出版された自身の画集をはじめ、装幀本、セノオ楽譜などの楽譜集、子どものための絵本、絵葉書や千代紙、そして肉筆画に至るまで、竹久夢二の全貌を感じていただける展覧会です。