四季折々の風情を、市井の人々の営みや、美しい女性の姿とともに描いた鏑木清方。つくつく法師や蟋蟀(こおろぎ)の声、澄んだ空を飛ぶ千切れ雲などに秋の訪れを感じ、秋が深まれば、木屑や菊のほのかな香りを楽しみ、火鉢に手をかざして読書に親しむ夜を過ごしました。
清方の季節へのこまやかな感覚、作品にこめられた豊かな詩情と彩りは、清方作品の特徴のひとつとなっています。
本展覧会では、江戸郊外へ出かける姉妹を秋の草花とともに描いた《桜もみぢ》や、虫の声に耳を傾ける女性を描いた《虫の音》など、秋の情趣あふれる作品をご紹介します。