近代を代表する美人画家として知られる鏑木清方ですが、日本画壇で活躍し始めた大正期は、「美人画家」というわくにはめられることに抵抗を感じていました。しかし、太平洋戦争が激化する昭和10年代の終わり、戦意昴揚のための作品を描くことを求められる中、心から描きたいと望んだものは、清らかで美しい、平和を象徴するような美人画でした。
清方は、江戸から明治の女性の姿、しぐさ、装いの中に、自らの求める美を見出し、障がいをとおし美人画を描き続けました。本展覧会では、その生誕140年を記念し、清方芸術の粋を集めた美人画を中心にご紹介します。