日本画家・木村圭吾(1944- )は、日本一の桜の名手です。親愛を込めて「圭吾桜」と呼ばれています。一本桜・千年桜に自己投影を果たし、孤独な戦いを追求してきました。それは「圭吾富士」と呼ばれる富嶽図にも共通します。日本一の独立峰は、世界一の秀麗さです。「圭吾富士」は、橙の彩雲によって黄金、青紫、真紅、純白に山肌を変え、美と生の崇高さを象徴します。一方、中国黄山の龍は、桜の巨樹にも、シャトーにも、巨大瀑布(ナイアガラ260×900㎝)の中にもいそうですが、大気圏を飛び出し大宇宙を旅します。圭吾の強みは、画肌の重厚さとともに、テーマ・表現・色彩・構図構成等が自由闊達な点でしょう。日本画の核心を捉えて外さず、アート・コスモスを拡張し続ける孤高なる画人・木村圭吾。氏の最新作、平野美術館創立30周年のために描き下ろす「華麗なる下馬桜(狩宿の下馬桜)」は、今展覧会の超目玉作品です。浜松初となる選りすぐりの30点からなる木村圭吾・画業50年記念展。その凄さは、絵画そのものがパワースポットであることだと思われます。元気と勇気と根気、明日の活力源となる迫力と憧憬の美をご満喫ください。圭吾の軌跡が、感動を呼ぶでしょう。