日本を代表する現代美術作家のひとり、元永定正(もとながさだまさ)の個展を開催します。1950年代、関西を拠点に本格的な制作活動を始めた元永は、当時前衛的な活動を行っていた具体美術協会との関わりを通じて、独自の抽象的画風を構築しました。
近年の元永の絵画に見出せる特徴は、鮮やかないろ使いとユーモラスなかたち、のびやかなせんです。これらには、例えば「いろだまよこきい」「しろせんかたちとくろながれ」といったひらがなだけの題名がつけられていて、遊び心に満ちたものとなっています。元永の作品には子供の無邪気さと熟達した技術が同居しており、明るい調和が生み出されているといえるでしょう。
本展では、元永の「現在」の活動をご紹介します。会場には最新作を含む絵画の他、色水を使った作品、カラフルないろだまがころころと床に転がっている作品等が展示されます。そして最後の展示室には、本展のために元永が特別に手がける大掛かりな作品、「らくがきの部屋」が出現します。この部屋では壁に直接絵が描かれたり、浮遊するバルーンが設置されるなど、楽しい試みが繰り広げられます。
この機会に、こころはずむ元永定正の世界を経験していただければ幸いです。