資生堂ギャラリーは、1919年のオープン以来「新しい美の発見と創造」という考えのもと、一世紀にわたり、活動を継続してきました。shiseido art egg(シセイドウアートエッグ)は、2006年にスタートした新進アーティストの活動を応援する公募展です。入選者は資生堂ギャラリーで開催される通常の企画展と同様、担当キュレーター、専門スタッフと話し合いを重ね、共に展覧会を作り上げます。
第12回目となる本年度は、全国各地より350件の応募をいただき、全体の7割以上を20-30代の方が占めました。今回も資生堂ギャラリーの空間を活かした独創的なプランが多く提案されましたが、選考の結果、感性豊かな独自の視点から今日の世界を捉える3名、冨安由真(とみやすゆま)、佐藤浩一(さとうこういち)、宇多村英恵(うたむらはなえ)が入選となりました。入選者の個展を2018年6月8日(金)~8月26日(日)にかけて、それぞれ開催いたします。次代を担う3名の新進アーティストたちの個展に、ぜひご期待のうえ、ご来場賜りましたら幸いです。
審査員:
伊藤俊治(東京藝術大学教授/資生堂ギャラリーアドバイザー)
光田由里(美術評論家/資生堂ギャラリーアドバイザー)
資生堂企業文化部
なお、各個展終了後、3名の審査員が3つの個展の中からshiseido art egg賞を選出します。今年度の審査員は、流麻二果氏(ながれまにか:美術家)、畠山直哉氏(はたけやまなおや:写真家)、森岡督行氏(もりおかよしゆき:森岡書店代表)の3名です。
受賞者は2018年9月中旬にウェブサイトにて発表するとともに、新進アーティストの活動に関心をもつ一般の方々を招待した贈賞式を開催する予定です。
冨安由真展 <インスタレーション>
2018年6月8日(金)~7月1日(日) 21日間
冨安由真は、我々の日々の生活における現実と非現実の狭間を捉えることに関心を寄せてきました。それは、科学によっては必ずしもすべて説明できないような人間の深層心理や不可視なものに対する知覚を鑑賞者に疑似的に体験させる作品によって追求させられます。展覧会では、複数の部屋からなる大型インスタレーションが出現します。そこに足を踏み入れた鑑賞者は、図らずも自分自身の無意識の世界と出会うことができるかれしれません。
佐藤浩一展 <映像>
2018年7月6日(金)~7月29日(日) 21日間
佐藤浩一は、人類学や植物学などへの関心から、二元論的な考えではなく境界線を自在に横断する多形的/流動的な生の実践について考察しています。映像や音響を主なメディアとして用い、近年は、植物と人間との関係をモチーフとしながら、ジェンダーやポストヒューマンなどをキーワードとした連作を構想しています。展覧会では、植物の生殖、造園、人間同士の交流をテーマに、映像、音響、立体、香りなどによるインスタレーションを展開します。
宇多村英恵展 <インスタレーション・パフォーマンス>
2018年8月3日(金)~8月26日(日) 21日間
宇多村英恵は、国や人種、異なる社会的立場を超え、個人と他者が対峙できる空間を生み出すことを目指し、映像やパフォーマンス、インスタレーションの作品を制作してきました。展覧会では、特に身体性に重きをおいたインスタレーションを行います。パフォーマンスの経験を展示のなかでどのように展開していくかという課題のもと、展覧会を鑑賞する観客がパフォーマーとして参加することを通して、展示作品としてのパフォーマンスの可能性を模索します。