「僕にとって画をかく喜びの第一は、写生することによって自然の美しさを今さらに知ることである。」
40歳頃から本格的に絵筆をとった実篤は、野菜や草花、果実など、かこうとするものをじっと見つめ、自然が作り出した形や色の美しさを何とかして紙面に表現しようと50年余り制作を続けました。日々墨を擦った硯の底を擦り抜くほど熱心に取り組み、画に言葉を添えた作品は人々に親しまれています。
本展は、日本絵手紙協会創立者であり上武大学手がき文化研究所所長の小池邦夫氏が監修。絵手紙の根底にある「自分を表現することで、日常を豊かにすることができる」という考えは、実篤から受け取った思いをこれからに伝えるひとつの表現方法であると言います。四国・松山で生まれ育ち、17歳の頃に文学作品を通して実篤に出会い、76歳になる今も精力的に活動する小池氏の原点となった実篤の画業をご紹介します。