日本からブラジルへの集団移民が開始されてから今年で110年を迎えます。移住した人々は、すべてが異なる環境で幾多の困難を乗り越え、文化的、経済的な発展に貢献してきました。
マナブ間部(1924~1997)は熊本県宇土郡不知火村(現宇城市不知火町)に生まれ、10歳で家族とブラジルに移住しました。幼い頃から絵を描くことが好きで、コーヒー園で働きながら油絵を描きはじめます。その後、耕地を手放し画家として生きることを決意してからは、1959年に国際美術展であるサンパウロビエンナーレで国内最高賞を獲得するなど、国内外の展覧会で受賞を重ねます。瞬く間にマナブ間部の名は知れ渡ることになり、活躍の場を世界へと広げていきました。鮮烈な色彩と瑞々しい表現による作品はブラジルの大地と日本的な感性の融合をも感じさせます。マナブ間部は日本とブラジルの芸術の懸け橋になろうと、日伯現代美術展を創立し、日本で個展をたびたび行うなど、文化面での交流にも尽力しました。
本展では当館収蔵品のなかから、マナブ間部の油彩、版画作品約60点を展示します。新天地で夢を抱き、情熱を持って描き続けた画家の作品をどうぞご覧ください。