長谷川等伯(1539~1610)は能登七尾出身で、桃山時代に活躍した日本を代表する画家です。当館では平成8年から毎年シリーズとして「長谷川等伯展」を開催し、出身地の美術館として等伯や長谷川派の作品を展示・紹介しています。
シリーズ23回目となる本年は、等伯の若き信春時代の仏画や鑑賞画から晩年の水墨画の大作まで、様々な表現に挑み続けた等伯の画業とその魅力を紹介、長谷川派の作品も含めた27点を3つのテーマで展覧します。
テーマ1 《等伯の挑戦…仏画と鑑賞画》
若き等伯は信春の名で絵仏師として活躍。能登で長谷川家養父・宗清の影響を受けながらも、京都を往来して優れた絵画に触れ、豊かな色彩と緻密な描写で見事な仏画を描きました。また、中国絵画にも学び、花鳥図などの鑑賞画にも挑戦しました。ここでは、信春時代の仏画と鑑賞画を中心に、一部宗清などの作品も含めて紹介します。
テーマ2 《等伯の挑戦…巧みな水墨の技へ》
等伯の正式な京都移住は33歳頃とみられますが、七尾・京都の往来は意外と早く、10歳代と考えられます。京都における法華宗の芸術家一門や、大坂堺と茶の湯を通した強固なネットワークを後ろ盾として、50歳前後から次々と水墨画の大作を描きました。牧谿や梁楷などの優れた技法を吸収しつつ、自らの表現を探究した等伯。ここでは、様々な水墨の技をご覧ください。
※「複製松林図屏風」も展示
テーマ3 《等伯を継承せし者たち》
等伯には息子や娘婿の他、多くの弟子がいたことが知られています。これら長谷川派は等伯亡き後衰退していきましたが、他派の技法を取り入れながらも柔軟に活動した画家もいました。ここでは、能登で活躍した長谷川等誉、後に長谷川工房としての絵屋を引き継いだといわれる等伯3男・宗也、等伯の人脈を濃く受け継いだ4男・左近、主要な弟子の宗圜や主殿の作品を紹介します。