私は暁斎の曾孫ではありますが、「画家にはなるな」と幼い頃から言われましたので、眼科医の道に進み、1964年に蕨眼科を開業いたしました。しかし、美術を愛好する気持ちは持ち続けており、「文化の乏しかった蕨の地に美術を」と考えて、1976年に蕨眼科内に「わらび画廊」を併設いたしました。画廊では、新進気鋭の現代作家の皆様の作品を一週間毎に展示すると共に、暁斎も知っていただきたいと暁斎の作品を展示すると共に、現代作家の方々の展示も行ってまいりました。
その後、自宅があったこの場所の一部を1977年に「河鍋暁斎記念館」として開館、展示室を広げて1986年に財団法人の認可を受け、現在のように第三展示室とショップを開設するに至り、2012年には公益財団法人に移行、その間、「わらび画廊」は役目を終えたを終えたと感じ、閉廊いたしました。
今回は当館の開館40周年を記念し、「わらび画廊」で個展を開催された方や、個人的に交流を持った方々から寄贈を受けた私のコレクションをご覧いただきたいと存じます。
また、暁斎の孫で、暁翠の長女、そして私の母である河鍋吉(かわなべ よし、1907~1973)の日本画も、今回初めて展示いたしますので、ご高覧いただければ幸いでございます。 2018年5月1日 公益財団法人 河鍋暁斎記念美術館 館長 河鍋 楠美