黒は実に多様なイメージを有する色です。孤独や悲哀のように陰鬱な印象のある一方、神秘や静けさといった好意的な面を見せる瞬間もあります。
そんな千変万化の黒は、美術作品においても、作家たちの意志によって意味や姿を大きく変える存在です。色彩を自由に選択できる作家があえて黒を使う時、そこに生まれる様々な効果や秘められた想いは私たちの胸を打ち、その魅力を最大限に発揮するのです。
本展覧会では、黒で描かれた作品を集めた「黒の力」、黒が他の色との対比に使われた場合どのように感じられるかを見つめる「黒と色彩」、黒が他の色を輝かせている作品に注目した「縁の下の黒」の三部構成として、平成29年度に新たに収蔵した作品及び既収蔵作品より展示を行います。