日々新たな表現が生み出される日本の漫画の中で、谷口ジローの作品は、きわめてオーソドックスでありながら特異な存在感を放ち続けて来ました。漫画を「9番目の芸術」として愛するフランスをはじめとした欧米諸国やアジア諸国でも、谷口ジローは「漫画の巨匠」として尊敬され、その作品は長きにわたり絶大な人気を誇っています。
印刷や複製では再現が困難とも思われる谷口ジローの精細なタッチで描かれた「原稿」は同時に「作品」です。そして、それらの「作品」が何コマも、何ページも連なって、大きな時間と空間の中に独自の世界をつくり上げています。
本展は、2017年2月に世を去った谷口ジローの主要作品の原画、単行本に未収録の初期作品、谷口ジローの制作の現場に立ち会った関係者のインタビュー映像などを通して、谷口ジローの世界のオリジナルな魅力を探ります。