本展は、パリのオルセー美術館と共同企画されたもので、同館所蔵のジャン=フランソワ・ミレーの3大名画《晩鐘》《落穂拾い》《羊飼いの少女》を中心として、クールベ、バスティアン=ルパージュら19世紀のヨーロッパ自然主義の流れをくむ画家たちの力強い作品を、日本で初めて体系的に紹介するものです。この3大名画が日本で一堂に会するのは今回が初めてであり、おそらくこれが日本で最後の機会になるでしょう。《晩鐘》は保存状態の理由から、外国への貸し出しが今後困難になることが予想されるからです。
ミレーは、人間の苦しい労働とその尊さを描きつづけました。とくに3大名画は、100年以上にわたり世界中の人々に親しまれ、近代文明が21世紀に伝える最高の文化遺産に含まれるといわれています。
本展は、ミレーといえばバルビゾン派という固定的な捉え方を離れ、絵画がもっている社会的機能、そして、名もない人々の生活をとおして、働くことや生きていることの意味を問いかけるものです。ゴッホ、ピカソ、ピサロらの作品も自然主義の観点から捉え、近代美術の流れを新しい切り口で紐解く作品73点を展示します。このうち51点は日本発公開です。