8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Galleryは、アメリカの現代アーティスト、ロバート・クシュナー展「未知の霧の中へ」を開催いたします。
ロバート・クシュナーは、1970年代後期にニューヨークで始まったパターン・アンド・デコレーション運動の代表的作家として国際的に活躍してきました。クシュナーは、ヨーロッパのテキスタイル、マティスに代表されるフォーヴィスム絵画の自由な描線、琳派の装飾性などの影響を受けながら、西洋と東洋の美意識が重なり合った独自の世界観を確立しています。豊かな色彩、自由で有機的な線で描かれた植物と、幾何学の抽象表現を融合させたクシュナーの作品は、大胆で鮮やかな明るさの中に繊細な生の慈しみがあり、観るものの心を捉えます。
本展では、古い楽譜、19世紀の婦人雑誌、辞書、日本の木版画等をコラージュした紙に描いた草花のドローイングなど、2010年以降の作品を展示いたします。ノスタルジックな素材に浮かぶ花や葉が、私たちを、時代を越えた未知の霧の中へといざないます。
ロバート・クシュナーは1949年カリフォルニア州パサデナ生まれ、現在はニューヨークを拠点に制作を行っています。1984年、ニューヨークのホイットニー美術館で個展を開催、ヴェネチア・ビエンナーレに2度出展するなど、これまでに世界各地で作品が展示されてきました。日本国内でも広島県立美術館での千住博氏との二人展(1997年)や白沙村荘橋本関雪記念館での個展(京都、2015年)などの展覧会を開催しています。また、2004年にはニューヨーク市地下鉄の77丁目駅に2点のモザイク壁画が設置されるなど、パブリックスペースでの大規模な作品制作も手掛けています。作品はニューヨーク近代美術館(MoMA)、メトロポリタン美術館、ナショナル・ギャラリー、オーストラリア国立美術館、イギリスのテート・ギャラリー、イタリアのウフィツィ美術館など、40を超える世界各国の美術館がコレクションしています。