タイトル等
ライアン・マッギンレー
「MY NY」
会場
小山登美夫ギャラリー
会期
2018-04-06~2018-05-19
休催日
日月祝 休
開催時間
11:00~19:00
概要
小山登美夫ギャラリーでは、ライアン・マッギンレー、待望の2年ぶりの日本での個展「MY NY」を開催いたします。

現在世界中で輝かしい評価を受け、最も脚光を浴びる写真家の1人であるライアン・マッギンレー。2001年に自費出版した初の作品集「The Kids Are All Right」で才能を見出され、2003年、ニューヨークのホイットニー美術館において25歳という史上最年少での個展を開催して以来、マッギンレーは写真、アート界の範疇を越えて一躍時代の寵児となりました。
彼の作品は、どこか危うさを持つ被写体の、自由と若さの歓びが溢れ出す瞬間や、倦怠と感受性の情緒的深みを色鮮やかに捉えています。その時代を代弁する独自の世界観は、世界中の多くの人々を魅了し続けてきました。マッギンレーは15年に渡るキャリアを経て尚、ポジティブで瑞々しい感性を保ち続け、まさに21世紀の写真史に名を残す存在であると言えます。

日本での展覧会としては、2012年小山登美夫ギャラリーにて日本での初の個展を開催し、2016年には東京オペラシティ アートギャラリーにて「ライアン・マッギンレー BODY LOUD!」を開催。この展覧会はマッギンレーにとって日本の美術館での初の個展であり、作家自らがセレクトした代表作約50点を展示し、大きな反響を呼びました。本展は2年ぶりの日本での個展開催となります。

【展覧会「MY NY」について】

「MY NY」では、2017年アメリカのデンバー現代美術館での個展「The Kids Were All Right」の出展作より約10点を展示いたします。これらの作品は1998年~2003年マッギンレーがニューヨークのダウンタウンで友人やアーティスト仲間を撮影した伝説の作品集「The Kids Are All Right」に掲載されたもので、さらに、デンバー現代美術館で初めて公開されたポラロイド作品や制作初期に使用していたカメラ、当時制作したZINE等もあわせて展示。本展は、「彼の表現の原点」を作品として日本で初めて公開し、マッギンレーの世界観がごく初期から成立していたことを表わす、大変貴重な機会となるでしょう。

【出展作、および1998年~2003年のライアン・マッギンレー】

マッギンレーは、1997年ニューヨークのパーソンズ・スクール・オブ・デザインに入学。デザインやペインティング、詩を学んだ後、1998年に本格的に写真を撮り始めました。

当時彼はニューヨークのダウンタウンに住み、ダッシュ・スノウやダン・コーレン、アガサ・スノウなどアーティスト仲間、イアスノットなどのクリエーター達と磁石のように引き付け合って、家に夜な夜な集まり、まるで家族のような関係を作り上げていたといいます。今回の出展作は、彼らが大胆に、自由奔放に、快楽主義的に生きている熱気を捉えた、ライアン・マッギンレー活動初期の作品です。彼自身、当時は「毎日毎日写真が撮りたくてたまらなくて、もう狂ってるみたいな感じだった」と語るように、一晩でフィルム20?40ロールも撮る日々を2003年にデジカメが登場するまで6年間も続けていました。カメラが付いた携帯電話もなく、インターネットが登場する前の時代に、外で写真をここまで撮り続けていたのは非常に珍しいことでした。

小説家、批評家のクリス・クラウスは、ライアンの初期作品に関して次のように語っています。
「マッギンレーの最初期のイメージでさえも、当初思えた程に「ドキュメンタリー」ではないことが明白になる。・・(中略)リアリティにかえて、彼はこう説明する。『僕の写真は本当のところ僕の空想生活の記録により近い』。「The Kids Are Alright」のイメージは記号のようなものであって、被写体は、身近なボヘミアン的環境の中で暮らしているところを描かれてはいるが、明らかにとどまることなく、時間を突き抜けていっている。」
(クリス・クラウス「偽フィクション、神話、偶発性」、美術手帖「特集 ライアン・マッギンレー」2012年2月号)

当時のアメリカはブッシュ政権時代。2001年の「9.11」アメリカ同時多発テロの影響が続いていた、多くの人々にとって絶望の時期でもありました。そんな時代にも関わらず、マッギンレーの作品は美しく、日々の瞬間や人生は陽気で好奇心に満ちた胸躍らせるようなものだと私達に伝えてくれます。そして、マッギンレーはこれらの作品を100部限定のZINEのような自費出版作品集「The Kids Are All Right」に掲載し、自ら雑誌社、画廊、尊敬する作家達に送り、ホイットニー美術館での個展開催に繋がることになります。ライアン自身が新しいメディアによって自己表現の流れを作り出したのです。

【マッギンレー作品の冒険的な自由さ、世界と繋がる先鋭的な感覚】

2003年ホイットニー美術館での個展が大成功をおさめた後、マッギンレーはニューヨークを離れ、アメリカ中を旅し、撮影を演出するようになります。友人達との大陸横断旅行で撮影された「Road trip」シリーズ、洞窟や鍾乳洞の幻想的な空間での「Moonmilk」シリーズ、秋から真冬の大自然を舞台とした「Fall & Winter」シリーズ等。壮大な風景の中でヌードのモデルたちが走り、戯れ、アクロバティックな動きを切り取り、崇高で神話的な世界観を写し出すという新たな境地を創り出しました。2012年の「Animals」シリーズでは、動物を被写体に、今までにないユーモアを感じさせる作品に挑戦しています。

マッギンレーの作品は、このように時代と共に変化しながらも、常にファンタジーのような冒険的な自由さに溢れ、人々や世界と繋がる感覚を持ち合わせています。マッギンレー自身、次のように語っています。
「誰かが僕の本を見て、エッセイを読んで、写真を見て、クリエイティブになること。それが自分の写真家としての最終的な役割。僕の創った世界が人々に語りかけることを望んでいる。」
(日本初個展のためのロングインタヴュー ライアン・マッギンレー「マジカルでファンタジックでタイムレスな写真のために」、IMA Vol.1、2012年Autumn号)

本出展作のNYでの刺激的な人々の交流、生活を切り取った光景は、まるでプライベートとパブリックの境界が混在する現代のデジタル社会を予感させているようで、彼の時代に対する先鋭的な感覚に改めて驚かされます。マッギンレーの原点となるNYでの日々「MY NY」。この貴重な機会にぜひご高覧ください。
イベント情報
オープニングレセプション:2018年4月6日[金] 18:00 - 20:00
*アーティストは都合により、オープニングに来日することができなくなりました。予めご了承ください。
ホームページ
http://tomiokoyamagallery.com/exhibitions/my-ny/
会場住所
〒106-0032
東京都港区六本木6-5-24 complex665ビル2F
ホームページ
http://www.tomiokoyamagallery.com
東京都港区六本木6-5-24 complex665ビル2F
Webcat plus 展覧会タイトル等から関連資料を連想検索