タカ・イシイギャラリーは、ロサンゼルスを拠点に活動する作家、スターリング・ルビーの個展を開催いたします。タカ・イシイギャラリーでの3度目の個展となる本展では、最新作のペインティング作品を展示いたします。
今回の新作では、赤とオレンジと黄色、セルリアン・ブルーと緑と茶といった感情をかきたてる不調和な配色が、冷たい白あるいは焦げたような黒の背景と組み合わされています。ボール紙や帯状の布からなるコラージュの上には指紋や筆跡が残り、激しい動作や厚く盛り上がった絵の具使いは強迫的で不穏な感覚をもたらします。
武骨ながら詩的でもある作品タイトルは、CRSS(cross: 十字、横切る)、WIDW(window: 窓)、VERT(vertical:垂直)といった略語を含んでいます。こうしたタイトルは、画面を二分割あるいは四分割しているコラージュの要素を表わすとともに、地平線、格子、旗、鉄格子、そしてとりわけこのシリーズでは窓という、作家が繰り返し用いるテーマを暗示しています。この窓のどちら側に視点があるのかは不明確です。私たちは窓から外を見ているのか、外から窓の中を見ているのか、どちらでしょうか?
「CRSS. UMBRA VITAE.」は、詩人ゲオルク・ハイムが危機に瀕した1912年の世界について天空の光景や暗い思索を記した黙示録的な詩「人生の影」にちなんだ作品です。「WIDW. MAZATEC.」は輝く空を描く一方、「VERT. BOW.」 は、嵐のあとの虹を含んでいます。不確かな未来の姿を予示しながら、内と外を行き来するこれらの心象風景は、究極的には一体性、全体性、再統合へと向かいます。