タカ・イシイギャラリーは、2月17日(土)から3月17日(土)まで、クサナギシンペイの個展「どこへでもこの世の外なら」を開催いたします。タカ・イシイギャラリーでは3年ぶり4度目となる本展では最新作のペインティング作品を展示いたします。
風に鳴るこの旗を見よ、とチベットの僧侶たちは解脱を志す人にいう。
動いているのは旗であるか、風であるか?
答えはこうあるべきなのだ。旗でもなく、風でもない。
精神である、と。
J.グルニエ「孤島」(竹内書店、1968年)p147より
クサナギはこれまで生のカンヴァスにステイン(にじみ)の技法でレイヤーを何層にも重ね、透明感のある色彩で風景画を制作してきました。作品は近年、このステインの技法を基調としながら、即興的で動きのあるブラッシュストロークや豊かな色彩表現が印象的な抽象絵画へと展開してきました。静と動が混在する画面構成と色相、そしてそのコントラストと調和は、作品の重要な構成要素として絵画空間に大きな広がりを与えます。クサナギが描く風景画は、私たちが知っている木々の緑や花、太陽や月、海や雲などの自然の風景や事象を思い起こさせると同時に、私たちが知らないこの世界の外側、開かれた「どこでもない場所」の風景をも想像させます。この機会にクサナギシンペイの最新作をぜひご高覧ください。