関東を代表する陶芸産地として知られる茨城県の笠間と栃木県の益子は、約200年前に信楽から来た陶工の技術を得てその歴史をスタートし、それぞれの藩の保護や奨励を受け、全国的に有名な陶芸の産地として成長ました。戦後になると、人々の生活様式は大きく変わりやきものの需要が激減したため、窯元はそれまでにない危機に陥りました。そこで両産地は、新しい生活様式にあったやきものづくりへの転換や陶芸家の養成に力を入れることで、陶芸産地としての新たな方向性を探りました。そして現在では、陶芸家が生活しやすい環境となった両産地に全国から陶芸を志す人々が集まり、多くの個人作家が活躍するようになりました。
現在の笠間と益子の陶芸産地としての特色は、個人作家の活動が活発で、国内外で注目される新しいスタイルのうつわが数多く生み出されていることです。本展では、笠間と益子を活動の拠点とする12名の作家の作品により、自由な作陶活動を育む両産地の魅力と、作家の個性や現代の感覚が取り入れられた「新しいうつわ」の魅力を紹介します。