富士山がさまざまな意味で名実ともに日本の最高峰であるのは疑いのないことです。富士山を望むことができるポイントは山梨、静岡、神奈川、東京の各所に数多くあり、遠くは北関東から近畿地方に至る広範囲に及ぶといわれ、また日本全国北から南まであちこちに富士山にあやかった愛称で呼ばれる郷土富士があります。
昔から詩歌に詠まれ、絵画や版画などの造形美術にあらわされ、とりわけ近年はカメラマンがレンズを向ける被写体になるなど、芸術表現の素材としても富士にまさるモチーフは他に見出しがたいのではないでしょうか。
今回の第19回富士山写真大賞には全国より1100点以上の応募が寄せられました。本展はその中から厳正な審査によって選出された力作50点を展示いたします。さまざまな角度、さまざまな気象条件によって美しく表情を変化させる富士の姿をご覧いただけます。
2013年6月、ユネスコの世界文化遺産に登録され、いまや世界の宝となった富士山の優れた姿を後世に伝えるとともに、このことが富士山周辺地域の環境保護や、平成10年に山梨・静岡両県が制定した『富士山憲章』の周知と遵守につながれば幸いです。