秋岡芳夫氏(1920~1997)は熊本県下益城郡豊福村(現宇城市松橋町)に生まれ、童画家、工業デザイナー、生活デザイナー、プロデューサーなどとして幅広く活躍しました。
1950年代、秋岡氏は工業デザイナーグループKAK(カック)のメンバーとともにラジオやカメラをはじめ数々の工業製品のデザインで名品を生み出しました。高度経済成長をむかえ急激な工業化が進むと、秋岡氏は社会の大量生産・大量消費の風潮に疑問を感じはじめます。そうしたなか生まれたグループモノ・モノは、秋岡氏を中心に様々な職種の人々が集まって、作り手、売り手、使い手のよりよい関係を目指しました。
日本各地で地方産業デザインの取り組みが始まると、秋岡氏には指導依頼が集まり、岩手県大野村(現洋野町)、北海道置戸町、島根県匹見町など全国を飛び回り、その土地の資源を生かした産業創出に取り組みました。1982年に開館した熊本県伝統工芸館は、秋岡氏がコンセプトづくりから関わり、「地域におけるモノづくりとくらし」という考え方が取り入れられています。
本展では、秋岡氏が手仕事の魅力を伝え、物の選び方や多様な使い方などくらしを楽しむ提案を行った工芸品を中心に展示します。
さらに今回は、秋岡氏の父であり、日本図書館の発展に寄与した秋岡梧郎氏(1985~1982)についてもご紹介します。