15歳で単身渡米し、国際的商業写真家としてその名をはせたハリー・K・シゲタ(1887~1963)。
彼がシカゴに開設した写真スタジオ「シゲタ・ライトスタジオ」にはアメリカの大手企業が顧客として名を連ね、連日シゲタに広告写真の撮影依頼を求めたといわれています。
シゲタの写真はなぜここまで評価されたのでしょうか。まず、シゲタが写真撮影や修整において卓越した技術を持っていたことが上げられます。そして、彼の写真には特徴がありました。それは他の商業写真にはない芸術的表現です。考え抜かれた構図と洗練されたデザインは、当時多くの顧客と消費者を魅了したといいます。
本展では、「写真を絵画芸術のように自由自在に表現」しようとしたシゲタの試みの一つ、“強い光”と“浮かび上がる影”、そして写真修整によるシゲタの感性と技術が織りなす幻想的な芸術写真を紹介します。また、商業写真家としての集大成ともいえるカラー写真「ダイトランスファープリント」による作品を展示し、芸術写真と商業写真を融合させ、アメリカ社会を魅了した写真家ハリー・K・シゲタの足跡を辿ります。