1970年代から現代へと続く日本のビジュアル・カルチャーを産み出してきた天才、横尾忠則。その代表的モチーフの一つである“瀧”のインスピレーションは十和田で得られたとも言われています。本展はその瀧をテーマにした絵画作品を中心に、最新作、未発表作を含めて構成されます。
一点一点が絵画的実験の反復と、横尾忠則は自らの創作を表現しています。十和田市現代美術館の企画展示室はその言葉を実証するかのようなダイナミックな作品にみたされます。
この夏から秋へ、十和田をかこむ自然環境が最も輝きを見せる時に、現代美術家の最高峰にいる横尾忠則が十和田への愛をこめて、個展タイトルも「十和田ロマン」。1970年代のデザイナー・アーティスト時代に“十和田湖 奥入瀬”の奔流を描いた作家は近年、瀧をめぐる連作で知られています。本展にはさまざまな様式を駆使した大作絵画の瀧、また流れるイメージが幻想を誘う、テクナメーションと呼ばれる光画が登場します。
さらに立体作品として現れるのは、楽聖モーツァルトと弥勒菩薩が合体し、東西の文化が融合するかのような摩訶不思議の世界です。モーツァルト弥勒は弟子の猫と対話しています。なぜ?
すべてはアーティスト横尾忠則のPOP IT ALL! 時代を弾かせ(ポップして)創作し続ける作家の勢いにあるのです。
[十和田市現代美術館館長]小池一子