鉛筆や木炭の無彩色で絵を描くことは、私にとって、あらゆるものの輪郭が地図のように平坦に浮かび上がり、その形だけに思いをめぐらせる時間です。
目の前にある美しいと感じる形や、その瞬間にしか留まることのない形を記録し、それらを型紙として収集していくことが私の日記のようになっています。
そして、何度も同じ形を転写できる型紙を用いながら、定着しづらく曖昧な木炭という画材を用いて、他者と共に絵を描いています。他者が介入することは、作家が思い描く範囲を超え、予測しきれない出来事を招くための一つの制作工程となっています。
今回の展覧会では、2016年から2017年にかけて日本各地で制作した型紙約1000枚と、それらを用いて新潟に住む人々やボランティアの方々と描いた、幅18m×高さ3.5mの木炭画を展示します。