小久保 裕は、小山市出身の洋画家で、東京芸術大学大学院美術研究科を修了後、パリのエコール・デ・ボザールに留学しヨーロッパ美術の神髄と伝統に触れ研鑽を積みました。小久保の画風は、精緻に作りあげた重厚なマチエールと、透明度の高い色層が絡みあいながら調和する色彩が特徴的で、そこに描かれた半抽象的なモチーフが隙のないコンポジションを作っています。長年、人間と自然の共生をテーマの中核としてきた中で、この十数年は「いのちの源である森」を擬人化するアプローチにより、自然への愛着や畏敬の念を表現してきました。本展覧会では近作を中心に約30点を紹介し、進化し続ける小久保裕の画境を俯瞰するとともに、今後の展開を探ります。