浅井紀(1959年大阪生まれ)は、19歳でヨーロッパへ渡り、パリ国立高等美術学校で学んだ後、フランスを中心に作家活動をしています。 本展覧会は、浅井のインスタレーションとしては日本での初めての発表となります。 会場には60センチほどの大きさのまゆ玉(コクーン)が空間にあわせてインスタレーションされます。まゆは、そのままの白木のものと、朱と黒の漆で「呂色(ろいろ)」と呼ばれる鏡面磨きに仕上げられたものが組み合わせられます。 浅井の作り出す空間は、音のない水の底にいるようなシンとした静まりかえった空間だと言われます。そのような瞑想的で静謐な空間に身をおいたとき、私たちの内部にある精妙な意識が喚起され、各人の中にある「アート」という感覚に出会うこととなるでしょう。