白髪一雄(1924-2008)は素足で描く独自のアクション・ペインティングによって、絵画の世界に新たな表現方法を切り開きました。その作品は高く評価され、現在では世界から注目を集めています。しかし「足で描くダイナミズム」が大きくクローズアップされるあまり、白髪の創作における関心や、使用された画材や技法をつぶさに検証することは、これまで充分になされてこなかったといえるかもしれません。
素足で直接的に描く作品以外にも、より幅広く力強い線を生みだすためにヘラ状の木片を用いて描いた扇型の絵画作品など、行為を最大限に生かしたいという白髪の思考は、様々な材料と方法で作品化されました。
本展では、生涯を過ごした尼崎市のアトリエに遺された画材道具や初公開を含む貴重な初期作品をはじめ、尼崎市所蔵作品や近隣美術館所蔵の名品を加え、アクション・ペインティングが生み出され進化した過程や作品のヴァリエーションを、約20点の作品で紹介します。