名品ベストⅢ
宮崎県立美術館では、「郷土出身作家及び本県にゆかりのある作品」「わが国の美術の流れを展望するにふさわしい作品」「海外のすぐれた作品」という3つの柱にそって、作品収集を進めています。
展示室1では、この中からコレクションを代表する国内外の名品、当館が誇るシュルレアリスムコレクションの名品を選りすぐって紹介するとともに、毎回テーマを変え、特定の分野やグループ等にスポットを当てた特集展示も行います。
今回は、シニャックやルオー、マグリットら海外作家、麻生三郎、鴨居玲、浜口陽三ら国内作家の名品に加え、「線の力」をテーマに、菅井汲や坂本善三らの作品を特集展示しています。多彩なコレクションの魅力をご堪能ください。
宮崎の美術Ⅲ
明治時代、日本の絵画は急激な社会の変化の中で転換期をむかえます。西洋の表現も取り入れられ、新しい「日本画」を求めた模索が始まりました。この時代に活躍した本県出身の日本画家として、伝統的な狩野派の流れを汲む山水画で力を発揮した山内多門がまず挙げられます。また、同時代に秀麗な美人画で認められていたのが益田玉城です。
一方、本県出身の洋画家では、太い輪郭線と鮮やかな色彩で独自の画風を追究した塩月桃甫が、大正5年に文展(文部省美術展覧会)に入選しています。また、力強い筆づかいで生命力あふれる女性像を描いた山田新一などが中央画壇で活躍しました。
ここでは、宮崎県を代表するこれらの作家の作品を紹介するとともに、版画にスポットを当てたコーナー展示も行います。
本県出身の作家やゆかりの作家による作品の魅力をお楽しみください。
瑛九の世界Ⅲ
宮崎市出身の瑛九(本名:杉田秀夫)は、生涯を通じて常に新しい表現を求め、写真や版画、油彩など様々な技法に取り組みました。またその作風も、初期から晩年に至るまで、印象派やシュルレアリスム(超現実主義)風、抽象的な作品など、多彩に変化しました。
20代でフォト・デッサン集『眠りの理由』を刊行し、一躍美術界で脚光を浴びた瑛九は、様々な技法や表現を模索した後に、その集大成ともいえる点描による絵画空間へとたどり着きました。
今回の展示では、油彩や版画など、各領域の代表的な作品に加え、若き日の瑛九芸術を理解し支えた北尾淳一郎の論文等を、当時の瑛九の作品と併せて紹介します。没後60年近くを経て、今なお輝き続ける瑛九作品の魅力をお楽しみください。