宮城県の美術界、教育界に多大な功績を残した杉村惇(1907-2001)は、日本を代表する静物画の名手として知られ、日展などに油彩画の大作を出陳した一方で、魅力あふれるスケッチも数多く描いています。
公益財団法人カメイ社会教育振興財団では、2011年9月に杉村家よりスケッチを中心とする貴重な作品のご寄贈を賜りました。
30代半ばの1943年、軍需生産美術推進隊隊員として赴いた北海道・幌内炭鉱で働く女性から最晩年2001年、翌年の日洋展に向けての構想まで半世紀あまりの間、まるで日記のように描かれたスケッチの画題は人物、植物、静物、風景など多種多様で、杉村惇の制作への情熱と弛まぬ修練の軌跡を生き生きと伝えてくれる貴重な資料です。
本展では、日々のスケッチから生み出された杉村家、仙台市、東北大学病院所蔵の油彩画も併せて展示し、杉村惇の深奥な芸術世界の一端を紹介します。