久世建二は、1945年、福井県の芦原焼窯元の次男として生まれる。
八木一夫、鈴木治、山田光といった戦後の日本における現代陶芸運動の影響を受け、従来の焼き物の宿命ともいえる実用形を否定した土を使った造形表現を一貫して追求してきた。
1970年代には、角形や丸い物体を紐でくくった造形「パッケージ(梱包)」の連作を、1980年代後半から90年代には土の表面に指や手の跡を直接しるした「痕跡」シリーズ、90年代後半からは土塊を落下することによって生まれる偶然のフォルム「Falling (落下)」シリーズ、そして2000年に入ると痕跡と落下を併用した「落下・痕跡」シリーズといった、比類の無いコンセプトの作品を発表し続けてきた。
水分を含んだ柔らかい粘土は、
触れた人の手の痕跡も、
心の小さな動揺も瞬時に反応して、
形に表わして見せてくれる。
粘土には潜在的に多様な形が
記憶されている。
その記憶を呼び覚まして
見えるようにすることが
私の仕事だ。
久世建二