青木美歩/大野学/切東さや/小泉順美/高石茉耶/竹内優美/内藤紫帆/光廣萌子
『暮らしの中のアバンギャルド・アート』
京都精華大学芸術学部テキスタイルコース・中川ゼミが企画した、過去2回の「ステッチ展」「縫い展」の第三弾をここに紹介する。京都精華大学のテキスタイルコースの卒業生、教員。そして他大学からの出品者を含め16作家が参加する。
縫い針、刺繍針などの針類やミシンを道具として、糸、紐、衣類を素材として作られる線、面を構成する作品群に加え、針を用いるニードルワークや縫い、刺し、かがり、まつり、編み、結び、組みなどが含まれる。ろう染や型染めのような絵画的、版画的な方法論ではなく、物質と物質を結びつけ重ね合せる事で、あらたなイメージを創出するコラージュ的な方法と言えよう。
染め織りを基本とするテキスタイルの領域では、前衛的な表現のひとつとも言えるが、縫いの方法論は、暮らしの中の日常的な行為、例えばミシンがけなどから生まれる、私たちの生活に馴染んだ身近な手法である。
しかし、伝統的な染め織りでないということが、決して前衛的な表現を生み出すとは限らない。要は作品内容の問題であり、コンセプトとインパクトをどう考え、新しい価値を生み出せるかが課題となる。これらをクリアすることからテキスタイルのアバンギャルド・アートが生まれのではないだろうか。新たな「縫い」の展開に期待が膨らむ。見たこともない表現に出会いたい。 キュレーター/美術評論 加藤義夫