洲崎正隆セレクションによる現代美術家10人の展覧会「軌跡の庭」。
参加するアーティストは、全員東京をベースに90年代からキャリアを重ねているという点で共通している。同じ時代背景を持ちながらも制作のスタイルには違いがあり、時間をかけて個性的な作品を作り上げている。実は昔からお互いよく知っている友人の集まりでもある。にもかかわらず洲崎氏は「同窓会的なものではなく」「作品本位で選んだ」と言う。「そのことの説明はすごく難しいんじゃないの?」と打合せで作家からツッコミが入っていた。とはいえ、とても広がりのあるユニークな選択で「軌跡の庭」というタイトルもなかなかしっくりいっているように感じる。
展覧会は自分たちのホームグラウンドのようなギャラリーで開催されるが、全員の作品が同じ場所で展示される初めての機会でもある。これまでに積み上げてきた作品(軌跡)が一つの場所(庭)で共有されることは娯しみであり、待ち遠しく思う。
(稲垣 立男/アーティスト・法政大学国際文化学部教授)