今年2017年は、島根県ゆかりの画家・喜多村知(きたむら さとる)(1907-1997)の没後20年目にあたります。
喜多村は旧満州・大連市に生まれましたが、父の郷里である島根県津和野を出自としています。戦前から帝展や新文展、国画会展等で活躍し、1941年には新文展特選および国展F夫人賞を得ました。戦時中の1945年には津和野に疎開し、島根県立津和野高等女学校(現・島根県立津和野高等学校)で美術教師を務め、戦後は1946年に創立された島根洋画会に創立会員として参加するなど本県にも重要な足跡を残しています。1963年のヨーロッパ遊学が転機となり作風が大きく変化した後、美術評論家で画廊主の洲之内徹に見出され、同氏が経営する現代画廊で1976年から個展を開催しました。
本展ではこの洲之内徹に評価された1970年代以降の風景画を中心とする約30点の作品を一堂に展示し、単なる具象でも抽象でもない喜多村の風景画がもつ汲みつくせぬ魅力を紹介します。