本年は池田家の菩提寺である曹源寺の伽藍整備に尽力した、5代岡山藩主の池田治政(1750~1818)の200年遠諱にあたります。これを記念して曹源寺の至宝に当館所蔵の池田家資料を加え、また同時代の大名茶人である松江藩主・松平治郷(不昧)のお茶道具を併せて展示する特別展を開催いたします。
岡山市中区円山にある曹源寺は、池田家の菩提寺として2代岡山藩主の池田綱政が元禄11年(1698)に建立した臨済宗妙心寺派の寺院です。そのため曹源寺には池田家歴代藩主の肖像画や肖像彫刻、書画などの池田家にまつわる貴重な文化財が多数所蔵されています。
池田治政は、寛政の改革を推し進めた松平定信を恐れぬ振る舞いをするなど、剛毅な人物として知られています。その一方で藩学校や閑谷学校を訪れたり、岡山後楽園を、芝生を敷き詰めた現在の姿に整えたりするなど、文化的な大名としての顔も併せ持ちます。本展では「池田治政坐像」や書など曹源寺に伝わる治政ゆかりの品々に加えて、当館所蔵資料の中から治政の肖像画や治政が御後園(現在の後楽園)の様子を描いた「御後園図」、さらには巨大な書、治政自作の竹花入などの品々を展示し、治政の人物像に迫ります。さらに曹源寺に伝わる茶道具に加えて、治政と親交が深く、茶人としても名高い松平不昧ゆかりの茶道具(松江歴史館所蔵)も併せてご覧いただきます。
池田治政の200年の遠諱にあたり、こうした品々を通して治政の人柄や、治政が岡山に残した足跡に思いを致すと共に、池田家の歴代当主が眠る曹源寺にもより一層親しんでいただければ幸いです。