浮世絵の「浮世」とは「現代」という意味があり、浮世を生きる人々を描いたのが「浮世絵」の始まりとされています。特に、人々が旅する様子は多くの作家により題材として取り上げられ、さまざまな作品が残っています。江戸時代は幕府により参勤交代が行われ、宿場や街道が整備されていきました。これにより、それまでの時代と比べると飛躍的に人々の移動が容易になりました。当初は武士や庶民等の身分の違いにより自由な移動は制限されていましたが、江戸時代後期になると信仰を名目とする旅の一大ブームが訪れます。静岡県内には東海道の53ある宿場町のうち22があり、なかでも浜松宿は、本陣の多さで街道一、また、浜松城の城下町ということもあり、大変賑わいました。
本展覧会では、全国各地を旅する人々の姿を描いた浮世絵並びに旅に因んだ諸道具を紹介します。当時の人々が目にした情景を、浮世絵を通してご覧になっていただき、江戸時代の旅の様子を感じて頂ければ幸いです。