江戸に幕府が置かれてから260年余に渡る太平の世に、日本の絵画は大きく発展しました。江戸初期に幕府の御用絵師となった狩野探幽は、「江戸狩野派」と呼ばれる大きな一派を形成し、幕末まで隆盛を極めました。江戸中期になると、京都画壇に「写生画」を創造した円山応举が登場し、一世を風靡します。一方、中国の文人画に影響を受けて日本独自の「文人画(南画)」を大成した与謝蕪村や池大雅、また、異色奇想な画風の伊藤若冲や曾我蕭白など、個性的な画人が登場しました。江戸後期には、当時の名所や美人などを描いた「浮世絵」が江戸を中心に流布し、多彩な発展を遂げました。本展では、江戸時代に活躍した画人たち、狩野探幽、酒井抱一、円山応挙、伊藤若冲、与謝蕪村、池大雅、谷文晁、喜多川歌麿らの作品を出品し、江戸絵画の一端を紹介します。