一定の縮尺の限られた一枚の地図において、全体と細部を同時に見ることが難しいのと同じように、日々の生活においても、一つの物事に集中すると全体が見えなくなるし、逆に全体を見ようとすると、細部が伴わなくなります。むしろそうやって物事を見るピントを臨機応変に変化させることによって情報を取捨選択することは、混乱せずに生きるための術ではあるけれど、いつも何かを見落としている気がしてなりません。作品では、既成の情報を新たなルールに則り、あえて身体感覚を伴う原始的な方法によって再構築することによって、あたらしい世界の見方を提示できないかと試みています。