日本一の山、富士山には多くの肩書があります。
世界遺産登録の山、信仰の山、左右対称の稜線を持つ独立峰等々。その類い稀な美しさは多くの画家に愛され、描かれてきました。
その一方で、富士山麓に住む人々にとって富士山は、日常の存在として生活に密接に関わっています。富士山に現れる季節の指標を農作業の参考にしたり、富士山にかかる様々な雲で天気を予想、雪解け水が豊かな良質の水源になる等、いつも人々の友となって暮らしを助けてくれています。見る場所、季節、時間の経過によっては時にびっくりする様な表情を見せて、日々の生活をいっそう豊かなものにしてくれます。
今回の展示では、赤富士や雲海の上に頭を出す特別な富士山ではなく、「友として、日々を一緒に過ごす山、富士山が日常に見せる表情」に注目して、移り行く季節の富士、時間の経過と共に変化する富士、山麓の生活に寄り添う富士の姿を展示します。
日々の姿にこそ見られる美しさや魅力、その山岳風景を画家も親しみを持って描いています。