豊かな表情や自由気ままな振る舞いで、私たちをとりこにする猫。猫は、古くから人々と生活をともにする、愛すべき身近な存在です。
江戸時代に流行した浮世絵にも、たくさんの猫たちが登場しています。初めは美人画の中で愛らしいペットとして描かれていましたが、無類の猫好きとして有名な浮世絵師の歌川国芳が、擬人化した猫が人間さながらに生活する様をユーモラスに表現すると、浮世絵に猫ブームが巻き起こりました。国芳を筆頭に、歌川広重や月岡芳年など、江戸時代から明治時代の浮世絵師たちは様々な形で猫を描いています。
本展では、日本有数の浮世絵コレクションで知られる平木浮世絵財団の所蔵品の中から、「猫だらけ」の浮世絵145点を紹介します。優美な女性と猫が競演を見せる美人画、奇想天外な化け猫図、子どもたちのためのおもちゃ絵など、江戸の人々と猫との愉快な暮らしぶりを窺うことができます。
彩り豊かな浮世絵の魅力と、今も昔も変わらぬ猫への愛情に満ちた表現の数々をお楽しみください。