吉増剛造(よします・ごうぞう 1939- )は、1960年代から現在にいたるまで、日本の現代詩をリードしてきました。その活動は文学の領域にとどまらず、写真や映像、造形作品など多岐にわたり、私たちを魅了しています。
常に言葉の限界を押し広げてきた吉増の詩は、日本各地、世界各国をめぐり、古今東西、有名無名の人々や書物と深く交感を重ねる中で綴られてきました。本展では、半世紀以上におよぶ活動の中から、『黄金詩篇』(思潮社、1970年)をはじめとする各時代の代表的な詩集を柱とし、詩や写真をはじめとする彼の作品群に加え、関連する表現者たちの作品や資料と共に展示します。
現代のみならず、古代の営みにまで幾多の時代を横断しながらさまざまな対象をとらえ、そこからかつてないヴィジョンを生み出し続ける吉増の視線、声、手は、日常を超えた異界への扉を私たちの前に開くでしょう。