月岡芳年“月百姿(つきひゃくし)”展 怪しくも美しい物語世界
幕末を越え、明治の新風を浴びながら、師・歌川国芳(うたがわくによし)譲りの豪快な歴史画、物語絵、武者絵を得意とした月岡芳年(つきおかよしとし)の晩年の代表作『月百姿』。芳年と同じく国芳の兄弟弟子であった落合芳幾(おちあいよしいく)の『今様擬源氏』を公開。
月岡芳年(つきおかよしとし 1839-1892)は、幕末から明治前期にかけて活躍した浮世絵師です。1850(嘉永3)年、12歳で当時の人気浮世絵師・歌川国芳に入門し、1860(万延元)年頃より本格的に絵師として活動を始めました。過激な血の表現を用いた、いわゆる「血みどろ絵」をはじめ、歴史絵や美人画、役者絵、古典画などの多種多様な浮世絵を手がけ、各分野において独特の画風を見せながら、明治へと移り変わる激動の時代の中で、鮮烈な作品の数々を生み出しました。浮世絵が需要を失いつつある時代にあって、最も成功した浮世絵師であり、門下からは日本画と洋画で活躍する画家を多く輩出した『最後の浮世絵師』と呼ばれています。画家としての活動は約33年間。その間に描かれた題材は500以上あり、芳年の生涯の制作作数は1万にも及び、葛飾北斎に次ぐ多作家でした。