美、営み、笑い、怖さ、そして、お色気。
日本が世界に誇る芸術作品といえば「浮世絵」。ゴッホやモネといった名立たる画家たちに影響を与え、現代においても国内外で高く評価されている浮世絵は、江戸の生活や流行の風俗をはじめ、人気の役者や名所旧跡を描き多くの人に親しまれています。本展では、錦絵が誕生した江戸時代中期から爛熟の黄金期を経て、幕末の隆盛期までの全時代に焦点を当て、江戸文化の象徴として時代を牽引してきた人気の浮世絵師十人を紹介します。
錦絵創始期の第一人者で、ロマンチックな女性像で知られた鈴木春信をはじめ、清楚な八頭身美人像を描いた鳥居清長。ベラスケスやレンブラントとともに世界三大肖像画家と讃えられた東洲斎写楽。美人画の神様とまでいわれた喜多川歌麿。赤富士や波富士で新たな風景画を確立した葛飾北斎。情緒的な風景画を描き、ゴッホを魅了した歌川広重。これら六大巨匠に加えて、あらゆるジャンルで人気浮世絵師を輩出した歌川派の総帥で一門の隆盛に生涯をかけた初代・歌川豊国。その門人で役者絵や美人画に長け、三代豊国を襲名した歌川国貞。パワフルな武者絵やユニークな妖怪画で大衆を魅了した歌川国芳。そして、武士でありながら遊女の情念を追及し、妖艶な美人画を描いた溪斎英泉ら、多彩な天才浮世絵師をクローズアップして、浮世絵の真髄と醍醐味に迫ります。