本展では、寄託作品の中から、美術部門は、大正から昭和にかけて活躍した京都の画家・福田翠光(ふくだ すいこう)の作品を、博物部門では市内祐金町にある真宗大谷派の寺院・専福寺(せんぷくじ)の名宝を展示します。
福田翠光(1895-1973)は、大正15年に帝展初入選以降、特選等を受賞、戦後は日展審査員として活躍、京都画壇における官展系の重鎮として広くその名をなしました。時々の時代精神によく呼応し、大胆な構図と明確な形態でしめされるその画風は、伝統的な京派の流れと古典的漢画の正統をくんでおり、特に「鷹」を描いた作品には定評があります。
展示は本画、素描など合わせて約30点で構成し、今回特別に京都市美術館所蔵の作品も展示します。
専福寺は、弘仁9年(818)に最澄の弟子澄円によって開かれ、後に真宗に改宗したと伝えられます。中興の祖祐欽は、永禄三河一向一揆の際に活躍し、一揆後の禁制の中、他寺に先駆けて帰参が許され、一番道場として名を馳せました。寺には本願寺の歴代門主に縁の資料が多く残され、関係者の宿泊所となるなど本願寺とは密接な関係にありました。また、明治5年に額田県博覧会の会場、同11年には明治天皇の行在所になりました。
展示では、専福寺の歴史、中興の祖祐欽と永禄三河一向一揆、本願寺門主との関わりを中心とする歴史資料と、仏画・教典等の貴重な名品の数々を御紹介します。