毎年、宇城市不知火美術館では絵本原画展を開催しています。今回は繊細で可憐な作品を発表し続けている熊本県在住の絵本作家、こみねゆらさんの絵本原画を紹介します。
こみねさんは、熊本県出身で東京芸術大学絵画科、同大学大学院で油絵を学んだ後、1985年に政府給費留学生としてフランスに渡り8年間滞在します。1992年、初めての絵本『Les deux Soeurs』をフランスで出版し、帰国後も絵本や挿絵の仕事を手掛けます。『さくら子のたんじょう日』で第10回、『ともだちできたよ』で第18回日本絵本賞を受賞、『オルゴールのくるくるちゃん』で第47回講談社出版文化賞絵本賞を受賞し高い評価を得ています。これまでに、『おばあさんのうちへ』、『ちいさなおひっこし』、『にんぎょうげきだん』、『ミシンのうた』など多くの絵本が出版されています。
こみねさんの作品には、小さなものへ向けられた温かいまなざしがあり、そこから引き出された美しさが作品のなかで丁寧に紡がれています。衣装や室内装飾も隅々まで緻密に描きこまれ、小さな画面にこみねさんの思いが凝縮されています。
本展では、『しいちゃんふうちゃんほしのよる』『オルゴールのくるくるちゃん』『なぞなぞでおやしきたんけん』『 しあわせなおうじ』の原画約80点を紹介します。また、こみねさんが作り続けている小さな人形もあわせて展示します。こみねさんの描く繊細で美しい原画とともに、愛情あふれる小さな世界をどうぞお楽しみください。