地域にゆかりの深い作家を紹介してきた茅野市美術館では、茅野市出身の彫刻家・藤森民雄(1954-)の展覧会を開催します。
茅野市に生まれた藤森民雄は、東京造形大学彫刻科を経て、東京藝術大学大学院彫刻専攻を終了、1985年には31歳の若さで新制作協会会員に推挙されています。1997年からは横浜国立大学教育学部にて教鞭をとり、2004年より同大学教授を務めています。
藤森は、混沌とする現代社会において、自然界の一部である人間のありように目を向け、現代の不安や閉塞状態での人間の精神の開放、そして生命が持つ変化に満ちた時の流れをみつめる中で、現代における人間の精神のあり方を作品で提示しています。作品の多くは、粘土の素焼きでつくられたテラコッタで制作しており、故郷である茅野の遺跡で出土した土器群をはじめとする縄文文化が、その原風景にあります。藤森の作品からは、縄文土器と同様に、脈々と続く生命の流れを感じることができます。
本展では、初期作品から「解眠」「風蝕」「休息の午後」シリーズまでの約40点を厳選し、藤森民雄の表現とその軌跡をみつめます。