眠る生き物たちから、新たな生命が芽生え、新しい生態系を生み出していきます。鳥や獣、草や木をつなげて描き足していくことによって、生命が無限に連鎖する森羅万象を描き出します。あたかも「描く」という行為を通して、動物や植物たちに魂を吹き込んでいるかのようです。
画家の大小島真木は、生きとし生けるものたちの世界をテーマに、複雑に絡み合う自然界の姿を縦横無尽に描きます。その想像力は、ときに画面を飛び出して宇宙にまで広がり、人智を超えた壮大な自然の歴史を紡ぎます。大小島は、既成の絵画の枠に収まらず、壁や床、天井を使った作品も発表してきました。
一つの絵画から、複数のイメージが成長し、増殖し続ける絵画を「はみ出し壁画」と呼びます。公開制作では、人間たちが眠りについた時間、巨大な植物が爆発的に覚醒し、繁茂する様を綴ります。たとえ人類が消滅しても、力強く成長し続ける生命の営みが、画家の手わざによって部屋いっぱいに広がることでしょう。私たちを産み出す母なる大地の物語です。